随分と刺激的なタイトルだけど、これは TEDxFremont での Douglas Lisle 氏のスピーチ「The pleasure trap」の邦訳「快楽の罠」から。スピーチの日本語訳がログミー[o_O]で公開されている。

ガットポンポコでは今年もち米が沢山できた。なのに脱穀する前に12月に突入して、雨と雪の魔の1週間に突入してしまい。濡れないよう養生にビニールシートを掛けておいても、毎日飛ばされてしまい、結局びしょ濡れにしてしまい。あーもーなにやってんだと絶望的な気分になって仕事が手に着かないときに、このスピーチに出会った。

食事性快楽の罠

食事性快楽の罠についてのグラフ

縦軸が快楽の高さ。横軸が以下の経過。

I、完全な自然食。つまり人々が本来食べるべきであり、好きであるとされていて、実際に好きな食事。

II、ジャンクフード。ドーパミン回路が上昇。「間違ったことをしながら良い気分」

III、脂っこい食事に馴化したことで自然食と同程度の快楽になるが、食べているのは脂っこい食事。

IV、食生活を改善、自然食に戻る。快楽は低下。「良いことをしているのに何か違うという感じ」

V、回復。

私たちは近年主に何を食べているか。大量の肉・油脂・砂糖。とんこつラーメン、ピザ、ハンバーガーなどなど。自覚しつつ恐ろしく脂っこく味の濃い食事をとっている。これらの食事は肥満などの深刻な問題を引き起こす。こんな食生活が日常化し、人々はほんの少しの野菜や健康食しか摂らなくなった。そしてなにより、人体が成長に必要とし、機能を最大限に活性させる、加工されていない自然のままの植物栄養素を全く摂らなくなった。

しかし、健康的な食事に戻そうと思っていても、グラフのIVからVへの回復には数週間かかるので大概は挫折して、IIIへ戻る。「行くべき道を知っているのにそこへ辿り着くのは難しい」という罠に落ちた状態。平日仕事をしていて忙しいのでついついこってりとした外食をしているが、休日に健康的な食事をしても物足りず、ついケーキを食べてしまうというように。

生き物は、本当は自滅しているとしても、エネルギーを節約し快楽を簡単に得られるならば、自分は生物学的に成功していると考えるようにできている。なので快楽の罠に陥りやすい。

「自己肯定」「自己否定」の快楽の罠

ここで、冒頭の私の心理状態の話に戻る。養生シートを飛ばされては、絶望しては、また養生シートを掛けては、自分がダメだということを再確認しては、シートを掛けて。これ自己否定の罠。

先のグラフに「自己肯定」と「自己否定」も当てはまると思う。

「自己肯定」「自己否定」ともに快楽を伴う。「自己肯定」は分かり易いと思うが、「自己否定」は「あれ?」と思うかもしれない。こっちもやはり快楽だ。自己の否定、例えば「俺って何やってもダメだ」という自己否定には「なのに頑張っている可愛そうで健気な自分」というような自己弁護が含まれている。これが快感。

否定する方が簡単でより強い快楽を得られる。自己否定とは現状ではないこと、つまり、変化。Lisle氏が指摘するように、人は同じことが続くと快感が鈍くなり、変化を求める。その分自己否定のもたらす快楽は変化を伴うので指数が高い。自己肯定とは現状維持だから快楽指数が低い。なので自己否定の快楽にはまると抜け出せなくなりがち。

ふだん自己否定しておいて、たまに自己肯定すると、これは変化なので快楽指数が高い。ということで、自己否定の罠にはまって抜け出せなくなる。

罠から抜け出す方法

Lisle氏は本来の感覚を取り戻すための方法にも言及している。

これを達成するためのコツがいくつかあります。

ひとつめのコツはコップ1杯の水です。毎日1杯の水を飲もうとかそういう話ではありません。1杯の水だけで24時間過ごすのです。これをすると、食べた豆腐やきゅうりなどを消化します(笑)。土曜日に始めるのが良いでしょう。例えば土曜日の夜に始めて日曜日のディナーまで何も食べない。すると、味覚が研ぎすまされ健康的な食事がおいしく感じるのです。体を欠乏状態にさせると感度を取り戻すことが出来ます。

もうひとつのコツはこれです。こちらのほうが複雑です。ジュース、たとえばリンゴやにんじんジュースなどを2〜3日飲み、ジュース断食をします。先ほどと同様に、脂質や塩のレセプターを使わせず、ジュースの砂糖だけで効率的に生き抜くのです。脂質や塩のレセプターを休ませることで感度を取り戻すのです。

これを応用する「自己否定の断食」。

やり方。

否定していることを、肯定的に表現した文章を紙に大きく書き出し、目につくところに置く。

夢物語を書くのではなく、間違いのない現実で、且つ肯定的な表現ということがポイント。私の場合こうなった。

脱穀をいつできるか分からない程のたくさんのモチ米を今年は作った。なんてすごい。

間違いのない現実。自己否定しそうになったら、すかさずこの紙を見ると、あ、そういう現実だったな、ということを思い出す。私の場合は、肯定的表現を紙に書き出した時点で「あ、これ罠だったんだ。」と気付いて罠脱出した。なんて単純。

是非お試しください。

他人を否定する快楽の罠

「自己」肯定、「自己」否定、と書いたけど、これ対人関係にもあてはまるな。

人の心は、1人称、2人称、3人称の区別が出来ないので、あなた(2人称)や彼(3人称)の悪口を言うとき、自分(1人称)への悪口とみなして、内心傷付いているという話がある。他を否定し続けることは自分にもダメージを与えるが、快楽を伴うので簡単にはやめられない。

対処法は同じ様に否定したくなる前に肯定すること。肯定すると、私もあなたも嬉しくなる。脳内で快楽を高めて、否定したくなる気持ちを回避する。

もうひとつの対処法は、なんでもない冗談を言って面白がること。攻撃的な冗談ではなく、害にも毒にもならないような冗談。脳内に笑いを充満させて、否定を回避する。楽しくてしょうがないって時は、自分も他人も否定攻撃しているどころじゃない。

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