共生する「自然」を作る

人の手が加わった方が生産性の高くなる「自然」と、永続的に共生していけるような、仕掛けをデザインする。

未利用の自然資源を探し出し、できるだけ多機能性をもたせた利用の仕方を考えて、違う分野の技術を相互に取り入れながら、誰にでも再現可能な、永続的な仕組みを作る。

身の回りの環境が食べられる森になるような仕組みを作り続ける。

自然と共生する農法と暮らし「里山」

生まれた町には、海も山もなかった。加賀平野のど真ん中にある集落から一歩外に出ると、地平線まで見渡す限り田んぼが広がり、畑や川が間をぬって、遠くそびえ立つ白山の山脈と割と近くにあるテレビ塔だけが景色の中から飛び出ている。そんなところだった。新聞が読めるくらいの年齢になると、里山という言葉で表現されるなにかを知った。身近に山のない私にとって、さらに里がくっついた里山というものが、まったく理解できなかった。田園の中に突如現れる小高い古墳のような古森を想像させ、屋敷林ともちがう、なにか得体のしれないものとして、とても印象に残った。

「日本は資源の無い国なので、輸入に頼らざるを得ない」と宣伝する広告がテレビで流れている。とんでもないことだと思う。日本は、飲み水や樹木という資源に、とても恵まれた地域だ。植樹や、水遣りをしなくても、木が生えて森林ができる。森林があるから飲み水が得られる。

友人の言葉「里山は木を育てる畑だ」。とても的を得ていると思う。

バイオマス資源とか薪炭林とかいうように、樹木はエネルギー資源だ。エネルギー資源としての樹木を、再生可能な方法で育てる畑を、里山という。山という字が当てられてはいるが、山だとは限らない。生まれた町にも、当時はあったのだ。

食べる森を作り始めた

中学生になって母親の畑を手伝いながら、自分はこのような耕された土の上に立って生きていくんだろうなという、なにか確信のようなものを感じていたのだけど、高校を卒業すると多くの若者と同じように、変化と可能性を求めて都会の大学に進学した。大学での勉強は退屈だったけど、出会った何人かの友人から環境問題ということを教わったのは幸運だったように思う。現代の生活がいかに多くのゴミを生み出しているのか、それがどんなに問題を引き起こしているのか、知れば知るほど、この問題のある社会を変えるには自分だけの力では何にもできないのだと思うようになっていった。そして気づいたのが、自分が出来ることを実行する、ということをひとりひとりみんながやれば、これは解決するんだということ。

だから、少なくとも私は、環境負荷の少ない暮らしをすることにした。都会ではしかし、どうしても納得のいく暮らしが出来なかったので、農山漁村に活動の場を移した。あこがれの里山が普通にある場所で、田畑の上に立つという確信を実行に移した。

私という存在は何によってできているのか。

人間は自然に生かされて存在している。

人間は人に生かされて存在している。

そのことを当たり前として生きていける、半島の先端にある集落で、パーマカルチャー 自然と共生する暮らしを再発明していくことにした。

参考書籍

Permaculture: A Designers' Manual | Bill Mollison, Reny Mia Slay | tagaripublications

パーマカルチャーのデザイン技術と農技術に関する百科事典。いきなりこれを読むと情報量の多さで頭がくらくらするので、まずは次の入門編を読むのがおすすめ。

パーマカルチャー―農的暮らしの永久デザイン | ビル モリソン, レニー・ミア スレイ | Amazon

Permaculture: A Designers' Manualの入門編を和訳した本。日本語で読める本の中で、最も詳しくパーマカルチャーの技術が書かれていると思う。入門編だけあって分かりやすい量と表現にまとめてあるけど、それでもどっから始めたらいいのか分かんなくなるので、一読したら、次の応用編をやってみるのがおすすめ。

Permaculture Home Garden | Linda Woodrow | Amazon

パーマカルチャーの技術で、1~7家庭分の野菜を栽培する応用例が体系的に書かれた本。自然と共生する農の技術書としても貴重。まずは出来るところから実践してみて、体験を積みながら、何度も通読するのが吉。

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