ペチカ GPP-06 の完成

7月に煉瓦積みをしたペチカへ、ついに煙突をつけて、火を入れた。

完成!

構想と設計に2年。積み始めたら1ヶ月。レンガ積みに掛かった時間は1人で約56時間(8時間×7日)。

総工費は約10万円

専門業者に頼むと100万円以上かかるけど、設計、部材の買い付け、施行すべて自分で行ったことと、赤レンガは使いまわし、目地用の粘土は自前で掘り採ったことなどから、あまりお金に頼らずに作ることができた。

暖かい

部屋の断熱工事が途中どころか、天井と壁の一部を取り払ったままなので、「暖房」の実感は沸かないが、表面温度と排気温度が想定内なので、十分に暖かいといえる。

追記

実際に火を入れての温度計測を何度か行った。

排気が煙突に入る時点での最高温度が 127℃、燃焼室外側表面の最高温度が 81℃ だった。オーストリアでは、煙突に入る時点で、120〜150℃になるようにペチカを設計する(THE BOOK OF MASONRY STOVES)ということなので、これで及第点とする。表面温度が81℃は思ったより高いので、毎日焚くペチカでは、特に燃焼室の回りは、煉瓦を2重に積むのが良いなと思う。

GPP-06の仕組み

GPP-06は、私が対流型ペチカと呼んでいる仕組みで、燃焼と蓄熱をしている。

燃焼室扉に向かって左側面からのイメージ図

高温の気体は軽いので上部へ移動し、煉瓦と熱交換をして冷えた気体は重いので下部へ移動する。最下部の低温の気体だけが下部の出口から押し出される。

この仕組みを詳しく知りたい方は

前回の記事 をどうぞ。

施行の要点など

前回の続きから。

9~10段目

白い煉瓦の燃焼室と、赤い煉瓦の対流室を仕切る内壁が見える。内壁には、煉瓦と煉瓦の間には少し隙間がある。前回の記事で書いたように、この内壁でしきられた狭い空間のおかげで、燃焼室内の燃焼温度が上がり、適度な隙間のおかげで低温の気体と高温の気体が、重力に従った自然な対流運動をする。

扉は鉄筋で補強をした薄い鉄板。薄い鉄板は熱を加えると暴れる。歪んで周りの煉瓦を壊してしまうことがないように、周りの煉瓦との隙間を5mmほど空けて、不燃布を挟んでおく。

粘土を裏漉し

目地用の粘土は細かくしないと、薄い目地を作れないので、粘土を水で溶いたものをフルイで裏漉しして、大きい粒子を取り除く。水で溶いた土を1.5mm目のフルイにあけて、写真のような道具で押し付けて、通ったものだけ使う。コテや木べらでも押してみたが、この道具が早くて楽で金網も痛まない。

裏ごして採れた粘土2に珪砂5を混ぜて、赤レンガ用の粘土モルタルを作る。粘土モルタルの作り方は前回の記事で。

16段目

天井がついたところ。

右側の白っぽい煉瓦積みが耐火レンガで作った燃焼室。一番下に開いているのが、1次空気の吸入口、兼、灰掃除口。

左側の赤茶色のレンガ積みが、赤煉瓦で作った対流室。一番下に開いているのが、掃除口。

燃焼室は並型1丁で塞ぎ、対流室は幅があるので2丁掛けで塞ぐ。天井をアーチ構造にしようか迷ったけど、高さを抑えたいので、耐火煉瓦の長二丁掛けを使う。この上に蓄熱用の赤煉瓦が3段乗る。

ダンパーと掃除口

珪藻土煉瓦で蓋をした掃除口が2つ見える。右手前が上の写真にもあった対流室の掃除口。左奥のが煙突基部の掃除口。掃除口の幅は、珪藻土煉瓦がピッタリはまるように114mmにした。これで掃除口の金物やレンガを別途作らなくてよい。

飛び出てる鉄板がダンパー。薪を1〜1.5時間燃やして、熾だけになったら、ダンパーを半分閉めて、熾も消えたら完全に閉める。閉めないと熱気が少しずつ煙突から排出されるので、ペチカの保温のためにこのダンパーがある。

ダンパーは、厚さ10mmの鉄板を空目地に差し込む形式。12mmの合板を型にして煉瓦を積み、目地が固まったら合板を焼き切って、ダンパーを差し込む空の目地を作る。ダンパーの開け閉めに耐えられるように、ここだけ目地をセメントモルタルで作った。セメントは高熱に弱いけれど、この部分は比較的低温なので、問題ない。

煙突

排煙を冷やすと木酢液が出るが、これが室内に落ちると嫌なので、屋内だけ2重煙突にする。今回購入した煙突φ150mmを、たまたま家にあったφ200mmの中に入れた自家製2重煙突。2重煙突の帽子部分は、横煙突を挟むように上と下を作ってカポッとはめて、ステンレス皿で蓋をする。断熱材は入れた方が、2重煙突の効果は高いと思う。

追記

松をガンガン燃やしても、木酢液の逆流が起きないので、これで十分だった。

俯瞰
正面

柱が邪魔で真正面の写真が撮れないから、俯瞰図を変形させて作った正面写真のイメージ。

左側面

外壁の雑巾摺りを3回ぐらいして、余分な目地材を取り綺麗な化粧目地にする。中古の赤煉瓦は、コンクリモルタルが残ってて綺麗にならないので、そのうちグラインダーで削るかな。仕上げに土を塗るならこのままでよい。

写真でペチカの下に基礎コンクリートが見えるけど、あとで土間をこの基礎と同じ高さまで上げる予定なので、こうなっている。既に生活している土間にペチカを作るなら、土を掘った穴の中に基礎を作るのがよいと思う。土間の高さが上がったら、身長150cmの人が上に鍋を置ける高さのペチカ。背の低いペチカって割と貴重なんではないかと思う。

追記

耐火レンガと赤レンガは、組み合わさっていない、それぞれ独自の構造。接続部の目地が完全に芋目地なので心配だったが、問題ないみたい。燃焼時に耐火レンガが見えない程度に膨張しているはずなのだが、赤レンガ側以外に膨らんでいるのかもしれない。

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