移住政策の参考にとのことで訪ねられる方が時々にあり、珠洲に移住したきっかけや理由ということをよく聞かれる。
ずっと「ご縁」に導かれましたと言いながら、しかし理由はよく分からないと答えていたのだけど、最近立て続けに移住のきっかけについて人と話し合う機会に恵まれ、新たにとらえ直すことができた。
ご近所付き合いのある地域
私たち夫婦が初めて珠洲を訪れたのは、2010年の2月。突然訪問した珠洲市東山中町は大野製炭工場の炭焼釜の中で、大野さんから炭焼きのこと、地域の暮らしのことをじっくり聞かせていただいた。
その中で一番印象に残っているのが
うちの玄関に鍵を掛けると、野菜を持っていったのに閉まっていたといって、近所の人に怒られるんです。
というお話し。
そんなご近所付き合いのある地域なら、私も住みたいと思ったのがきっかけだったんだと、今更ながら思い返している。
ペイフォワードお裾分け
このホームページの基幹テーマの一つ「豊かな地域社会」というページに書いたこと。
貰ったらすぐに同等「金額」の物をお返しするなどということは、できないし、しない。むしろ、人から頂いた分の気持ちを、別の機会、別の形で、別の人へというのが、ここでは求められている。在所のお母さんにそう言われた。
なにかを沢山持った人は周りの人にお裾分けをする文化。珠洲には、ギブアンドテイク貸し借り、ではなく、ペイフォワードお裾分けが生きている。
そもそも田舎に帰ろうと思った訳
私が生まれ育った家というのが特殊な環境で、周りは昭和の近代化がされていく中で、井戸水に薪風呂といった昔からの生活を頑なに守りつづける家だった。印象深いのは小学6年生のときに、それまで「あま」と呼ばれる天井裏の物置だったところを、居住できる部屋に改装するということで一家総出で大工仕事をしたときのこと。農家は自分のうちは自分で直すものだと、亡くなった爺ちゃんに教えられた。
大学進学で関東に移住、就職し、カメラマンやパソコンのプログラマなどの仕事を経験した。しかし常に都会暮らしへの違和感を感じて、できるだけ緑の多い地域に住まいをしたり、電車に乗らずに過ごしたり、近所付き合いを求めて銭湯や八百屋の人とお付き合いをしたりと、自然環境や人の支え合いの中に存在しているのだということを感じられるように努力していた。
最大の契機は、夫婦二人でのスペイン巡礼の旅。三カ月の間。自分は本当は何者であるのか、夫婦でじっくりと見つめ直すことができた。
私という存在は何によってできているのか。
人間は自然に生かされて存在している。
人間は人に生かされて存在している。
そのことを当たり前として生きていける場所を求めて、ここにやってくるこができた。
ありがとうございます。
まわりもの
ときどき、玄関に野菜や時節の料理が置いてある。誰からいただいたものか、判明することもあれば、分からず終いのこともある。在所の誰かからの好意が、まわってくる。
ナスとオンベ
雨の畑で足元に、季節はずれの小布施ナス。草が枯れてきたお陰で、実りを見つけられた。行き帰りの道でふと見上げると、こちらは旬のオンベがなっている。あらよく似てるなと並べて色艶を楽しんだ。
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