ナス科苗の穴植え

自然農の畑は不耕起なので、モグラが害となることがある。私の畑では、定植した苗がモグラに持ち上げられて苗土が乾き、野菜が枯れてしまうことがあった。

そこで、春にナス科野菜の苗を定植する際、「穴植え」をするようになった。

  1. 定植穴を深めに掘って、底に腐葉土を入れ、深いところに苗を植えて、穴を埋め戻さずにおく。
  2. 野菜がある程度大きくなったら残りの土を戻し、土寄せにする。

このように植えるとモグラが苗を持ち上げても、苗土はまだ穴の中に有るので、根っ子が枯れない。これでモグラを害扱いしないでもよくなった。もう全然気にならない。

籾殻の乗っている苗土の面が、回りの土より3cm程低い

苗の活着までは、日光よりも水分が大事だという気がするので、多少日陰になるくらいに草を寄せて、掘った残りの土も回りに塀のように置いておく。

腐葉土には、その苗を育てた踏床温床の中身を2~3年追熟させたものを使う。→ 踏み込み温床 のち 植物性堆肥

ウリ科苗の鞍築き(クラツキ)

同じく春に植えるウリ科の野菜は、水の停滞を嫌うので穴植えせず、逆に軽く鞍築き(盛り土)にして植えている。その代わり、ウリハムシ避けの行灯をするので、苗の周りに支柱を4本差してあり、これがモグラ避けになっているかもしれない。

その畑に応じる

畑の状態は、その畑によって、畝によって、その年の天候によって変わる。ある方法が、別の畑で上手く行くとは限らない。そのとき、その畑の状態に応じたことをしないといけない。

新しい方法を取り入れる時は、何種類かの対応をして比較実験するのが良いと思う。苗の定植でいえば、深植え、横植え、浅植えして後で土寄せ、溝の中に植えて後で土寄せ、など。また、その年の天候に応じて深く植えたり、浅くしたりというときもあるけど、これは当たり外れのあることになる。余裕のあるときは、直蒔きと苗、段蒔き、などバックアップをするようにしている。

自然農の畑も、年数を経て有機物が地中深くまで含まれるようになると、モグラの住む位置が野菜と干渉しない深いところになるといわれる。そうなれば、わざわざ深い穴を掘る必要も無い。

水遣り

初期に水を必要とする野菜は、サツマイモ、人参、ゴボウ、モロヘイヤなど。毎日水遣りを1週間続ければ良い「だけ」なんだけど、量が多いと大変。これを自然農らしく工夫する。

サツマイモ

サツマイモは、苗といっても栄養繁殖のため、蔓を切って植える。この蔓をそのまま土に差しても、すぐには水を吸い上げないので、枯れないように毎日水遣りをしないといけない。というのが一般的な栽培。

まず苗を水を張ったバケツに活けて、毎日水を替える。何日かして、根っ子が出てから植えるようにする。植える際は、土を掘り上げて溝を作り、溝の中に植える。回りよりも低い狭い溝や穴というだけで、湿り気がたまる。パーマカルチャーでいうところの微気象の利用。植える場所に生えていた草は刈って、その場に敷くのだけど、サツマイモがほとんど見えなくなるくらいにする。2~3日前に刈って枯らしておいた草で、しかもイネ科がいい。ザルかヨシズのような雰囲気で、覆いを掛けてしまう。葉っぱに光が当たらんじゃん。と思うかもしれないが、活着までは日光よりも水分が必要なんだ。

これで、水遣りしなくてもよくなった。

人参とゴボウ

人参やゴボウは、発芽まで湿り気と日光の両方が必要という複雑ないきもの。発芽率も悪いので、多めに蒔かないといけない。種の寿命は冷蔵庫に入れないと1年もたない。なんて大変なんだ。

一般的には、一旦草を刈って土を浅く耕し、種を多めに蒔いて、覆土を薄くし、切り藁やゴザのような保湿材で覆いをし、毎日水遣りをする。でも、草を刈ると、切り藁を敷こうが、毎日水を遣ろうが、1日のうち何時間かは、土が乾いてしまう。乾くと人参やゴボウの種は、即死。吸水ってことを、ほとんどしないいきもの。

自然農の畑を観察していると、違う風に見えてきた。

草が生えている方が、発芽率がいい。

背の低い草がある程度の密度で生えていて、土が常に湿っているんだけど薄明るいというところに、人参やゴボウの種をバラ撒いて、種が土に落ちるように草をいじる。覆土はしない。これだけ。

シロツメクサやカラスノエンドウなどの地面をびっしりと覆い尽くす草はダメで、イネ科っぽい草がいい。草丈が伸びすぎたら、適当に刈って、草の上ににふわっとバラ撒く。

ゴボウなんて、ちゃんと蒔いたところは発芽しないのに、種がついたゴボウの回りには毎年勝手に生えてくるもんね。

棚の役割と造り

トマト、ササゲ、インゲンなど蔓を伸ばす野菜には棚を作る。

風避けとして

棚は、蔓が伸びて葉が茂ると、その他の野菜にとっての風避けとなる。なので、棚野菜と棚野菜の間には、茄子やコンニャクのような風を嫌う野菜の畝を挟むようにしている。

逆に棚野菜の畝を2畝続けると、風通しが悪くなり過ぎて、棚に育っている野菜が病気になりがちなので、これはしない。

風に強い棚

私の畑は強風で棚が倒れ易いので、風に強い造りを模索して今の形に落ち着いた。近所の人たちの畑の棚も、だいたい同じ様になっている。

柱の足元に、基礎用の角材が見える

柱の基礎に1.5m程の角材を使い、地面へ垂直に50cmほど打ち込む。50cmというのは畑によって違うだろうけど、杭を押しても引いても動かないだけ深くということ。この支柱に、真竹の太めの所を、針金で緊結して棚の柱としている。

細かく笹竹の支柱を差してあるのが、隠元やササゲの棚。もう一方がトマトの棚。

トマトは紐で吊る。見にくいねヽ(´▽`)ノ

内陸部では△型、合掌作りの棚をよく見かける。△はお互いに支え合うのが良いのだけど、支柱を深く打ち込んでないと、案外風には弱い。斜めに支柱を打ち込む場合は、垂直の支柱よりも深く打ち込まないと効かないので、私のところでは、どうも上手くいかない。

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