家屋に連結した温室

雨風の当たらず、明るくて暖かい、水を撒いても大丈夫な部屋。小さくてもこういう部屋があると、農家としては、なにかと便利だ。

家屋に連結した温室

雪で潰れず、したがってビニールゴミが出ず、また家の中から直接入れるように、家屋に連結した温室を作った。

ねらい

  1. 晩秋から冬にかけては、温室内で鉢植えを冬越したり、葉物野菜を育てたりする。太陽光で温まった温室内の空気を家に取り込んで、室内を暖かくする。
  2. 早春は、育苗に高い温度が必要な夏野菜の苗を育てる。中で温床を仕込んで特に高温が必要な野菜苗を育て、同時に室温と湿度を上げる。これは、日本でよく見られるビニールハウスと同じ使い方だと思う。
  3. 夏は、グリーンカーテンで日陰棚にして、網戸から家に涼風を呼び込む。家の南側に、夏の酷暑から家を守る緩衝地帯ができる。
夏野菜の育苗

人から頂いて使っていたビニールハウスが、数年前に一晩の雪で潰れてしまった。ビニールハウスは便利だけれど、冬に雪の積もる地域では、気をつけていても潰れることがある。そうなると、問題なのが大量のビニール廃棄物。よくない。

ガラスは高価だし、木の窓枠は工数がかかるので、実は長いことためらっていた。時間ばかり経つので、ポリカーボネート波板と、家に転がっていたサッシ窓で、簡単に作った。完璧を求めて立ち止まるより不完全でも実現させることが、物事を前に進めるためには、時には必要だなと思う。

温床を作る

唐辛子属の発芽には35℃以上が必要。また夜温が15℃以下にならないようにしないいけない。そこで、醗酵熱の苗床「温床」が活躍する。今年は温室が出来たので、4月に温床は時期が遅いけれども、温室内に地上式の温床を作るという経験を敢えてすることにした。

D600 W1200 H1000 の温床

踏み込まない温床

温床といえば、伝統的には資材を踏み込んで作るもの。しかし醗酵堆肥を作ると分かるけども、単純に温度を上げるには、出来るだけ沢山の酸素が含まれた方が良い。そこで、あえて踏み込まない温床を実験した。

また例年この6倍くらいの資材を踏み込んでいたのだけど、沢山の落ち葉を集めてくる労力が適正なのか、大きな温床で場所を占有する必要があるのか。育苗に必要最低限の温床の大きさを見極めたかった。

これまでの、土に掘った穴の中に踏み込む温床

https://kobapan.com/blog/2020/04/12/onshou.html

実験結果その① 温床

トマトやナスは、唐辛子属と同じ夏野菜だけど、比較的低温で育苗ができる。そこで今年は、温室に入れるけども、温床には置かずにおいた。ただし出芽にはそこそこの高温が必要なので、3月初旬に種を蒔くときは、コタツの中で根出しをしてからポットに蒔いて温室に置く。結果例年よりも短く太い、良い苗が育った。夏野菜でも温床なしで育苗できることが分かったので、これで温床の面積や、かかる労力を減らせる。

4月に入ってから2回目の種蒔きをした。こんどはコタツでの根出しをせずにポットに蒔いて、トマトやナスは温室に入れ、シシトウは温室内の温床に置く。トマトやナスは温室に置くだけで出芽してくれた。シシトウも温床の上で無事、出芽した。

シシトウが発芽した様子

今回実験してみて、踏み込まない温床の問題点は、箱の中身の嵩がものすごく減って、下がっていってしまうことなんだなと、分かった。箱の底の方は光が届きにくい。温床で本葉2~3枚まで育てるなら光が足らなくなってしまう。温度が高くて光が足りないと、ひょろひょろと徒長して弱い苗になる。双葉が展開した時点で、温床から別の場所に移すのなら、踏み込まない温床で良いのではないかと思う。

踏み込まない温床は中身が少ないので醗酵が早く終わるような気がする。長期間温床に置いておく場合は、やはり踏み込んだ方が良いのではないだろうか。しかし、酸素が届かない部分は好気醗酵が停止して、温度が下がってしまうので、踏み込む温床の場合は、底に藁や炭を多めに敷いたり、藁を壁にして温床を作るなど、酸素が行き届くような仕掛けが必要だ。

温床表面近くの温度

今回は、醗酵堆肥として見るならば、最高の醗酵だった。水の上がってこない場所、かつ温室の中なので、水分のコントロールや保温が上手くできたと思う。

温かくて湿度があって未熟な有機物だらけなので、目ざとく、蟻とネズミがやって来た。蟻対策には温室の周りに灰を撒く。ネズミ対策に、隙間を塞いで、温室内に猫を置く。蟻はすぐいなくなった。温床はやっぱり3月までのもんだなと思う。

実験結果その② 温室

温室内に隙間風が吹いては、冬に温室の温度が上がりきらないので、このあとは、もう少し隙間を塞いでいこうと思う。

夏には日陰棚になるのが理想なのだが、蔓植物で完全に覆い尽くすのは、なかなか難しい。特に屋根の部分。冬の日射は入るけど、夏の日射は入らないように角度を調節したガラリを内側に張るかなぁ。温室に熱気を抜く煙突をつけて、夏だけ開くというのも良いなぁ。

追記 2023-06-30

夏の様子

目の前の竹林で切り出した淡竹を使って、インゲン豆と十六ササゲのグリーンカーテンを作った。十六ササゲは最終的に温室を超えて、瓦屋根まで登っていったので、日陰としては上上だった。収穫のたびに屋根に梯子をかけてのぼるのはちょっと大変だったけども。

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