出来上がったオクドを、1年ほど使ってみての報告。
作って良かった
調理には申し分なく使える。
- 火力強い!
- 薪が追加投入できる!
- 煙たくない!
- 料理しててあんまり熱くない!
でも!
崩れる
目皿周辺の版築部分が崩れて、その下の珪藻土レンガが見えてしまっている。
居関さんの本には黄色がかった粘土が耐火性に優れるとあったので、庭から掘った黄色い粘土でもいけるかと試したが、焚けば焚くほどボロボロと崩れてしまう。
焚き口周辺、外壁に塗った土を見ると収縮している。このライン水平に作ってあったけど、斜めになってしまった。収縮のせいで崩れるのかな。写真、焚き口内部の床面の耐火セメントは収縮してないのが見えると思う。
庭の粘土、焼くと珪藻土コンロのようなピンク色になるから珪藻土混じりなのだろうけど。珪藻土コンロを焼成するときは、乾燥の後高温で焼く。鍵主さんに聞いたら、乾燥焼成後は元の半分ぐらいになるのだと!!版築で叩きしめたら収縮しないかなぁという期待をもって作ったけど、生乾きを低温で焼いてもまぁ、だめなんだろうな。
珪藻土煉瓦には釘が効くけど、版築程度の圧縮では釘が効かなかった。焼成してないとだめだね。
複雑な煙道設計の弊害
居関さん(参考*1)の煙道設計は複雑だ。複雑なものは、条件が合わないと、機能しないことが多い。今回も上手く行かないことが幾つかあった。
薪の投入口が斜め下を向いている
これは小空間で長い薪を入れられるような配慮。断熱が出来てれば逆流しないのだろうかと半信半疑だったが、見事に逆流した。
投入口内部の天井が水平になるように削ったら、逆流しなくなった。粘土版築なので、実験のためにサクッと削れてよかった。
熱利用を進めるために、煙道が下がったり上がったり
写真のように、1番穴から出るときに煙道を下げている。これを作るのが大変だったのだけど、結局ここも水平に近くなるように削らないと、逆流気味だった。
薪が勢いよく燃え過ぎると、せっかくの熱がドンドコ外に出て良くないので、熱がこもるように煙道を下げて煙の流れを抑える。これは分かる。でも薪が燃えないとか、逆流するのは抑えすぎ。焚き口の蓋をよっぽど機密性高く作らないと、下げて上げての煙道は難しいように感じた。
ダンパーが何枚もある
オクドは調理に使う薪の量が、薪ストーブでの調理に比べてすごく少ないのが魅力。居関さんのお薦めは、ダンパーで煙突直通へ切り替えて、煙突に気流を作ってから、鍋側へ切り替えて調理というやり方。しかし結局それだと暖気に余計な燃料を消費するので、良くなかった。
打開策
では、今度はどうするか、考えてみよう。
素材を変える
高原さんのペチカ本(参考*2)では、黄色ではなく黄褐色が良いと書いてある。居関さんの本とえらい違いだ。黄褐色って、いわゆる赤土。これなら火山性の粘土なので、耐火性高いと思われる。
版築にした理由は、居関さんの本に習った結果煙道の設計が複雑になってしまい、煉瓦の加工がひどく面倒だったから。
しかしこの結果じゃなぁ。赤土は耐火性高いとは言っても、粘土版築で作り直すのは、ちょっと自信無い。こんどは設計を見直して珪藻土煉瓦で作ろうと思う。
再設計
鍋を置く穴を3つ作ったけど、結局2つで調理できることが分かった。たまに足りないときは、七輪に炭を移して使うくらいで充分。
煙道を下げて熱が逃げないようにするとか、熱風が鍋に当たるように鍋の下で一旦上に向けるとか、魅力的だけどやめる。煙道を水平に近くまで削っても1番2番とも十分な火力があったし、どのみち消耗品なら、できるだけ作りやすいのが良い。
2番穴の追い焚き口は必要なかった。2番穴の下で煙道が折れていれば、追い焚きなしでお湯の沸くことが分かった。燃焼気体は煙道の折れたところで、極端に放熱するのは、ベンチ式ロケットストーブでも経験した。愛農かまど(参考*3)↓の煙道は水平だが、2番目の穴の下で煙道が急角度に右折してる。これが大事。
1番穴から2番へ行く途中にダンパーを用意したけど、結局使ってない。ご飯炊く蒸らしのときは、釜輪全部閉じてその上に鍋乗せるか、2番穴で蒸らす。ご飯蒸らしてるときって、もう1つの穴は味噌汁沸いて欲しいタイミングだったりするので、1番穴だけ使うって場面があんまりない。ダンパー有ると煉瓦加工が複雑になるし、フライパンがダンパーにぶつかるし良くなかった。ので廃止。
aprovecho.lorena-stoves のように、1番穴の炎が2番穴に到達するような、1番穴と2番穴との距離の近さが大事だと思った。鍋フライパンがぶつからないギリギリ近くが良い。
さぁー、壊すぞー!(〃'▽'〃)
そして、また創るぞーヽ(´▽`)ノ
作った → 新作。オクド2型。薪火で調理するオクド。
参考
- *1 農家向き改良かまど―作り方・扱い方 (1958年)居関 久男 国立国会図書館サーチ
- *2 ペーチカ―明日の採煖設備 (1948年) 彰国社技術撰書 高原 一秀 Amazon
- *3 愛農かまど設計図
- aprovecho.lorena-stoves 1981
- uganda.improved.lorena-stoves.2004
- uganda.improved.lorena-stoves.2008
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