北陸中日新聞で
時国家の経済基盤を支えたのは、多角的経営と、潟湖(せきこ)の曽々木湊を拠点にした回船業。
と読んだ。
はて?
輪島の曽々木に、湊も湖もないと思うが、なんのことか。昔はあそこに潟湖があったに違いないなと、浪漫に浸る。
そして国土地理院の古い航空写真を探したら、やはりあった。すごい、面白い地形。これ綺麗だったんじゃないか。
石川県輪島市町野町曽々木付近 1947(昭22)
出典(国土地理院 mapps.gsi.go.jp)
写真を見ると昭和50年頃まで存在していた潟湖の様子がよく分かる。現在の旧町野高等学校校舎の海側一帯が潟湖だったようだ。これが時国家の回船業を支えた曽々木湊。一軒時代の時国家は町野川の畔にあったらしいから、潟湖と川でつながっていたのだ。今も残っていれば名勝として行楽地になっていただろうに、もったいないことをしたものだ。
現在の地図を見ると、埋め立てたところが何にも使われていないように見える。名残りの小さな池のようなのがあるみたいだ。こんど覗いてみようかな。
ところで能登で現在も残る潟湖に七尾市田鶴浜の大津潟がある。ここは七尾西湾の中の深い入江(大津)を埋め立てていき、最後に潟として残ったところらしい(こみみかわら版)。自然の潟湖は入江の出口に砂丘が出来て、外海から隔てられることで出来る。だから大津潟と曽々木の潟湖では成り立ちは違うわけだけど、大津潟は能登で唯一見られる曽々木湊の往時に近い景観だと思う。金沢方面から能登へ来るなら、里山海道を徳田大津インターで降りて、この大津潟脇で休憩することをお薦めする。あまり知られていない観光名所だけど、葦に縁取られた潟湖に鴨が群れをなして泳ぐちょっといいところ。ここに車を停めて湖面をぼーっと眺める静かな時間が、私は好きだ。
この大津潟で夏に獲れる天然うなぎが、ちょっと先の中島町割烹お富で食べられる。天然うなぎの季節は八月から十月かな。今年の夏は、時国の荷舟が停泊する曽々木湊に想いを馳せながら、大津潟の天然うなぎをいただくとするかな。
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