古民家をコブ(Cob)で改造という建築をしてる。大工仕事は、農閑期の真夏と真冬、それぞれ約1ヶ月半しかできない。これは、この冬の記録。
コブの家(Cob House)とは?
石を積んで壁の基礎を作る
北側の壁は崖に接していて湿気が強く、木材が腐りやすい。今の家は加えて、地面から5cmしかない床コンクリートの上に土台木を横たえるという、素人の私でも首をかしげるような作りだった。土台木や柱の根元はシロアリにやられてスカスカになっていた。そこで、ジャッキアップして腐った柱を切り、石を積んで壁の基礎を作った。石の目地はコンクリモルタルで埋めて、柱を石積みの上に戻す。石積みの家を見学した成果がここに!
目地材にコンクリは使いたくないなと思って調べると、後日石灰・砂モルタルを見つけた。
石積みの目地材にセメントを使いたくないなら、強くて安いモルタルに、「石灰1と洗い砂3」がある。この石灰モルタルはゆっくり固まるので、石積みの上に壁を建て始める前に少なくとも2週間待つこと。よく固まるためには、日覆いと、乾燥状態の維持をすること。
北側壁の石積み基礎を積み終わった。このあと、断熱効果の高い 藁版築(light straw/clay) による壁を作る。床に置いてある煉瓦は、煙突抜きの場所を決めるために、ペチカの設置箇所をみている。左下に見える1段高いコンクリの平面は、床下にもともとあったもので、ちょうど良いのでここにオクドを設置しようと考えたのだが、、、後述。
藁版築(light straw clay)壁の枠
北側の壁に藁版築用の二重木枠(ダブルスタッド)を組んだ。木材はすべて身近で手に入れた廃材や稲掛木。木の窓枠はもともとここにあった窓の寸法を変えたもの。新しい窓枠に合うようにガラスを切った。ガラスカッターが超便利。
オクド(煮炊き用竈)の基礎
珪藻土レンガロケットストーブや、薪を焚く七輪で煮炊きをしてきて、薪調理にはオクドを作るのが一番よいと思った。
オクドとは?
薪で煮炊きするために鍋を置く調理器具。ロストルがあって、薪を調理途中に追加できて、余熱利用ができて、排熱と煙を室外に放出できて、調理人が暑くない。
オクドを作る場所の床を剥がすと、先ほどの写真の1段高いコンクリの平面が出てきた。しかし高さのあるコンクリ塊の上が、なぜか湿っているし、なんか臭い。そもそもこのコンクリは何?と叩いてみると、意外と脆い箇所がある。ということで判明した。気づいて良かった。建築残土を山盛りにしたものにコンクリで葢をして置いてあった。土は水を吸い上げるからね。「見えないところの手を抜くことで、お金を儲ける大工もいる。」という言葉を思い出す。お陰で湿気がきて、高さ60cmもある基礎コンクリートの上の土台木まで腐ってた。写真の土台木に穴の開いているところ。
このままじゃオクドを作っても壊れやすいので、残土を取り除き、土を叩いて、割りぐり石を詰めた。
臭い匂いには、もうひとつ訳があって、ここらでオギ石と呼ぶ、堆積岩。成形しやすいので、昔の家や納屋の基礎によく使われた。湿気の強い場所に置いておくと、独特の悪臭を放つ。この石の割れたものが建築残土にたくさん混ざっていた。これか~!
コンクリを割る
コヤスケとセットウでコンクリを割る。基礎の石積みは、天然石で作りたいが、石を購入する気はなく、身近で手に入る石を使いたい。しかし、ここは硬い石の不毛地域。数年の間、解体した家の束石や、山の畑に転がっていた石などを集めているけど、まだ足りない。そこで、以前壊したロケットストーブの基礎コンクリートを、適当な大きさに割って使う。
左手のコヤスケを割れ目を作りたいところに斜めに当てて、右手のセットウで叩く。なかなか割れないので、「こんなので、本当に割れるのか」という気持ちになるが、前触れなく突然割れる。ピシッ!と最初の割れ目が入ったところ。
さらに、ピシッ!コンクリの板を置いた地面が、すり鉢状に少し湾曲しているので、一直線に割れずに、手前は何個かに砕けた。なんどかやってみると、手前側は砕けやすいことが分かる。そもそも、コヤスケは割ることもできるが、基本は削る道具なのだろう。
割と真っ直ぐに割れた。
骨材が入っていると、断面が少し狂う。
後日、ディスクグラインダーで切れ目を入れてタガネを叩き入れたらもっと簡単だった。今回のは石を割る練習だな。
天井板の代わりに竹を上げる
近くで真竹がとれるので、天井板の代わりに使う。冬の間に切ったとしても、そのままでは虫が入るので、早く乾燥するように表面のコーティングを取る必要がある。火で炙って布で拭うか、灰を濡れ雑巾にとって拭うか、囲炉裏の上に上げておくか。大量にあるので、灰で処理したけど、囲炉裏のある間に沢山用意しておけばよかったと思う。
藁版築で天井の断熱
天井の断熱材に、藁版築を使う。藁が思いのほか大量に必要だった。6畳間の天井に24把縛りで16束。すごい量。こんだけ積んであれば断熱するよなと思う。この作業は、天井の竹が乾燥してから行えば良かったが、藁の保管場所がないので乾く前にやってしまった。それと、あとで分かったことだけど、竹の隙間からどうしても砂が落ちてくる。ある程度落ちたら止まるかなと思っていたけど、一向に止まらない。竹同士の隙間を埋めるためのなにか、布か紙を先に敷いておけば良かった。
後日談
天井の藁版築は、仕上げ塗りをするもんらしい。今回は隙間なく竹を並べたけど、塗れるような隙間を空けておかないといけない。
普通の版築は垂直に押すけども、天井の場合は水平に押す。支持材は、格子状にしなくてはいけない。
参考書籍
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