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自然農ガットポンポコ

2017年09月30日 カテゴリ:作る

Cob House:身近に手に入る、土と砂、石、藁で作る家

土や砂、石、藁といった身近に手に入る天然素材で建てる家、コブ・ハウス。蓄熱素材で分厚い壁をつくるのが特徴(※後述)。その最新の日本語情報が少ないので、英語の情報を漁って日本語でまとめてみる。インターネットは本と違って写真が豊富だ。実例写真を見て初めて納得したこともあり、おかげで考えを整理できた。

Jackie’s Cob House | Tiny House LIVING

コブ・ハウスの外観イメージは、こんなの。

沢山の南窓。石垣を基礎にした土の壁。自由な形の屋根。緑化屋根。など。

Cob houses | Moon to Moon

コブ・ハウスの内部イメージ。

室内の形も自由自在。

分厚い壁ごしの窓からの光が印象的。

作り付けの調度品や棚の形に、凝ろうと思えばいかようにでも。

粘土に撥水加工をすれば、流線型の流しもできちゃう。

石灰粘土壁と、白木が美しい例。

マザーアースニューズ|みんなで創る暮らしの雑誌

この概略図は、コブ・ハウスの構造をよく表している。地面に掘った排水用の溝に、小石を敷き、ドレンパイプを設置、小石で埋め叩き、その上に石垣を積んで基礎とし、粘土と砂と藁に水を加えて混ぜたもの 「コブ」を積んで壁を作り、2階の根太を途中挟みながら屋根まで壁を積み上げ、屋根部材を受ける。

コブ・ハウスの概略図。

(記事からの引用)1999年初め、あるフロリダの若い女性が、オンラインの記事を偶然目にした。泥の家で彫刻する古代イギリスの手法が近年復活しているというものだった。興味をそそられ、彼女は貯金をはたいて、5日間のワークショップのためにヴァーモントへ旅行した。そこで、粘土、砂、藁を足で混ぜて、材料の塊をこねてコンクリートと同程度の耐久性がある固い壁にする方法を学んだ。

フロリダに戻った後、彼女が習った技術を使い、友達数名と、両親の裏庭に小さな陶芸用の小屋を建てた。フロリダの湿った空気や豪雨で「泥の小屋」が大地に帰すると予想する人もいた。ところが、2002年のハリケーン・リリの後、この頑丈で小さな小屋は、費用わずか数100ドルで夏に少し作業しただけだが、近隣で崩れずに残った数少ない建物となった。クリスティーナ・オット(Christina Ott) はコブ建築というものを理解していたのだ。

earthen acres

コブ・ハウスの建築工程を豊富な写真で紹介しているブログ。COB & ONにも出てくる家。彼らが建てたコブ・ハウスを、時系列にそって見る。

まずは(ほぼ)完成の図。東側外観。

西側外観。

床全体を掘ったあと、外周に沿って排水溝を掘っている。床全体を掘るのは、表土を取り払って、岩盤の上に家を建てるということかな。

さらに排水溝を掘る。上の写真の外周の排水溝から、外に伸びる部分。

排水溝にドレンパイプを置いて、採石で埋めたあと、石垣を積み始めたところ。石垣はコンクリ廃材を使っている。

モルタルはドアの下以外、使っていない。石と石の間の隙間をモルタルで埋めてもいいと思うが、作者はできるだけ産業資材を使わない方針みたい。石垣の上に載っている赤いのが、コブ。コブ同士がくっつくように、表面を凸凹にしておいて、この上に次のコブを積む。

コブの塊。これを1つずつ、上のように順次積み上げていく。

コブの壁が立ち上がってきた。写真の北側壁にはストローベイルを埋め込んだ。色の薄いとことがストローベイル。中空構造のストロー(藁)は、断熱素材として優れている。

コブ壁が出来て、屋根が出来た。壁の仕上げ塗りはまだ。北壁のストローベイルがよく分かる。

床の調湿層は、まず大きめのコンクリ廃材を入れ、購入した採石を入れて、叩いた。

その上に床の荒塗り。砂6、篩ったもの(?)6、粘土1。

仕上げ塗りは、赤粘土と砂と馬糞と細かい切り藁。

家族が増えたのでコブハウスの南側に、木造で建て増し。

木造部分の(ほぼ)完成図。南側外観。左半分が石垣+コブを基礎にストローベイルで作った壁、右半分が煉瓦積みの上にlight straw/clay壁。

ドイツ式のlight straw/clay壁は、写真の様に縦に細長い空間を木造で作り、さらに写真にはないが仮の壁板を貼り、その中に粘土をまぶした藁を叩き込んで行く(※後述 )。日本の土壁と違って、厚い壁を作りやすい。版築と似ている。

先に建てたコブハウスと、建て増し部分の境の壁は、取り払われた。コブ建築の柔軟なところ。

床の荒塗り。こちらは、粘土1:砂3。

木造部分の内側。石垣はコブで隠された。猫の足跡はこの後の仕上げ塗りで隠される。

石灰粘土の仕上げ塗りが荒塗りの上に塗られている最中。

壁の仕上げ塗りが終わった。床の荒塗りの上に粘土と砂と切り藁の混合物で最後の層を塗っている。境目を模様にしている。

境目を目地埋めしたところ。

Cob House は寒い地域に向いていないのか?

Cob Homes - Indoor Temperatures, Insulation, and Thermal Retention - This Cob House

泥の家は、壁の厚みが60cm、良く断熱された屋根、戸や窓は熱損失の少ないものという条件ならば、アメリカのほとんどの地域でセントラルヒーティングやエアコンなしに、年間を通して室内の温度は3.3~4.4℃の変化しかしない。

– Glorious Mud, Gus W. Van Beek

Strawbale vs. Cob...Not the Typical "King Kong vs. Godzilla" Story

コブは蓄熱体。主な成分である粘土と砂は熱を蓄える素材だ。コブの断熱性は限られている。しかし、蓄熱体は熱さや冷たさのバッテリーのように働く。つまり、コブは太陽や炎から熱エネルギーをよく吸収して、熱源がなくなったあともこれを蓄えている。コブを取り巻く空気の温度がコブの温度より低い場合、蓄熱体はバッテリーの蓄えを空気中に放出する。コブは大量の熱を蓄え熱源が失われた後で、長く熱エネルギーを放出しつづける。逆に言えば、日陰にあって熱を加えていない蓄熱体は夏の間ひんやりとし続け、周囲の暖かい空気から熱を吸収する(thus having a net cooling effect).

コブの利点は...

...メイソンリーヒーターやロケットストーブ(または薪ストーブ)の周りに蓄熱体として設置することで、コブは炎からの熱を吸収し、火が消えた後も熱エネルギーを保持する。

...パッシブソーラーデザインにおけるトロンビー・ウォールにコブを使うと、南窓からの太陽によって温められる。

...室内の建築材料として使うと、室内をひんやりと保つ。冬に室内を暖かく保つための蓄熱体が、ひんやりとしたい場合も同様に働く。

light straw/clay wall

粘土の厚壁を、木造の日本家屋を改装して作りたいなら、コブよりもこちらの方が向いているような気がする。

百姓 Hyakusho: 軽量藁土充填工法 Light Straw Clay Construction: Irwin A. and Robert D. Goodman Greenhouse at Spring Harbor

型枠の中で、粘土をまぶした藁を踏み固める。

荒塗を塗る前に粘土slipを表面にまく。

Green Home Building: Cob

コブの仲間に、"light straw/clay"と呼ばれるものがある。これは、最小限の粘土で藁をコーティングしたもの。最小限とは、藁がお互いにくっついて、かつ、多すぎてゴムのような塊とはならないような量。藁をスパゲティとしたら、水で溶いた粘土をソースのように絡めて作る。これを型の中で叩き締め、のち型を外す。この素材は内壁として使いやすいが、分厚く作るなら外壁にも充分使える。この壁はコブに比べてはるかに断熱に優れる(※そしてつまり軽い)が、壁/屋根重には耐えられないので、木造建築の技術が必要だ。

Building a Light Clay Straw (Straw-Clay) House | The Year of Mud: Natural Building Workshops

light straw/clay wallを支えるために、壁に垂直支柱を配置する必要がある。重量を支えられるだけの小さな直径の、角材、竹、などが使える。保持材は60cm毎に設置し、構造部材に取り付ける。

高さ60cmの板を、柱と柱の間に渡し止め、light straw/clayを叩き込んでいく。板のてっぺんまで来たら、板を上に移動して、繰り返す。乾くのを待たずにどんどんやっていい。力一杯叩く必要はないが、ある程度圧縮される必要はある。屋根の真下まで行ったら、板を外側だけてっぺんまで上げて、内側は半分だけ上げ、叩き入れる。内側の板をちょっと上げて詰めて叩いてを、てっぺんまで繰り返す。最後は1時間静置してから、板を取り除く。

1週間乾かしたら、同じ材料で、開いた隙間を埋める。埋める場所を濡らしてから埋める。

壁が完全に乾くには、厚さ2.54cmにつき1週間かかる。その前にびしょ濡れになったり、凍ったりしないようにする。

EcoNest – Form Work | TRC Timberworks

版築のような感じの型枠がよく分かる。奥には壁の高さの型枠、手前には高さ60cmの型枠。その間にlight straw/clayを支持する角材が見える。壁内の空間を隙間無く埋めるために、壁は一度に60cmの高さで圧縮する。壁の高さいっぱいまで埋まったら、奥の型枠も取り払う。

藁には空洞があるので、藁で作るときは撞き固める。藁の代わりに木片や鋸屑を使うときは、空隙が出来るように、緩く詰める。

light straw/clayの作り方 Cob Builders Handbook

なるべく純粋な粘土をバケツやドラムに水と共に入れ、混ぜる。多すぎた水を除くことはできないので、水は少しずつ足す。目安は、粘土をバケツの半分まで入れたら、水はバケツの4分の3まで。クリーム状になるまで混ぜる。砂や石は底に沈む。これを6~7mm目の篩いに通すことで(※裏ごしする)、不純物を取り除き、また粘土をさらに細かくする。できたものを粘土slipと呼ぶ。藁を板の上にバラバラと置いて、slipを上に注ぐ。slipはちょっとでいい。サラダにドレッシングを掛けるくらいの量。これをフォークで放り投げるようにして混ぜる。タープの上に置いて、サラダをボールの上ではね上げて混ぜるように、材料を放り上げて混ぜてもいい。すべての藁がslipでコーティングされるまで混ぜる。

参考書籍

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