概要

もともと2階のない平屋に、普通に2階を追加しようとしても、屋根までの高さが足りない。そこで、2階の床と1階の天井を兼ねる板を、根太を使わずに張ることで、高さを抑えることにする。

イメージ図

普通は、2階の床と1階の天井は別の板で、隙間が36cmとか開いている。この隙間を無くすことで、天井の高さを確保できる。こういうのを踏み天井という。ロフトを踏み天井にすることが多いのは、大概そういう理由。

根太を床梁に落とし込めば、2階の高さは出せるけど、1階は逆に、梁に食い込んだ根太の成40~50mmの分だけ天井に圧迫感が出る。そこで、根太を使わずに、梁に直接床板を張ることにする。

ところで2階の床を張るということは、床板を支える梁が要る。既に立っている柱にどうやって梁を通すのか。これが悩ましいところだった。

構造を考える

床板が厚み50mmの幅160~200mmで、本実で組むならば、根太がなくても2400mm程度まで飛ばせる[1]

梁には丸太を使えば、さらに1階天井の圧迫感が減って良いのだけど、手元に3000mm程度飛ばせる[2]立派な梁の古材があったので、これを使うことにした。

既存の柱間に梁を渡すにはどうしたら良いのか。最初に相談した大工さんは、羽子板金物を使えと言った。金物は、木を腐らせるので使いたくない。次に相談した大工さんは、傾ぎ大入れ[3]で横から入れといて、金物で固定と言った。いや、金物は使いたくない。相談してても、妙案が出てこないので、仕口の教科書を何冊か調べてみたら雇いほぞ[4]という仕口が出てきた。これでやるしかないのか。こんな高度な仕口、出来る気がしない。

結局、新しく四本の柱を立てて、桁と梁で固定することにした。家の中に新しい家を建てるような感じだ。

材木の調達と加工

地元石川県で育った杉を50mm厚の板に製材してもらって、大工さんの工場を借りて自分で加工した。ホームセンターで輸入の既製品を購入すれば、早いけどね。地元の森林資源や林業を活かしたいのと、農家は自分の家を自分で作るのだという祖父の生き方を引き継いで。なにより、ものづくりは、楽しいから。

板を加工

写真を見返したら、床板を今井工務店で本実加工させてもらったのが、なんともう2年前。倉庫に寝かしている間に、ネズミに齧られた板が2枚。そりゃ、2年も経てばね。ハハ

製材所から板が来た

仲間と一緒に鵜川相互製材所へ頼んだ板が来たのは、さらに半年前。ひと時代前は、3代かけて材木を蓄えたというから、随分早いかな!

平実を刻み中

ノコギリで真っ直ぐ切るのってコツがいる。ノコギリの背が一直線になって墨線とぴったり一致するように、引く。筋を見通すってやつだ。この仕事にも、だんだん慣れてきた。子供の頃じいちゃんに散々言われても出来なかった。今の暮らしの中で、いろいろ経験してきたお陰か、こういうことが出来るようになった。関係ないけど、昔ばあちゃんが使い古したマッチ箱で火を着けるのが不思議だったけど、これも出来るようになったな。

中から釘が。。

ほぞ穴を掘ってると、抜いたはずの釘が先っぽだけ残ってた!新品のドリルの刃を痛めちまった。刃は研ぎ直せばいいが、釘がこのままだとほぞ穴を掘れないので、桁を1本捨てることになってしまう。さぁどうしよう。

と。

新しい釘の先を平らにして、突き込んだら、取れた!良かった!

ほぞを切るときは、釘穴を避けましょうヽ(´▽`)ノ

兜蟻落とし(かぶとありおとし)

柱に、桁を載せて、梁を載せる。ここの仕口は、渡り顎の二重ほぞ仕口なら、間違いがなくて且つ強固なのだけど、既存の柱にくっつけて新しい柱を立てるので、これができない。そこで、柱と桁は平ほぞで通し、桁と梁は、写真のように兜蟻落とし(かぶとありおとし)仕口で組むことにした。

ところで、成が七寸八分もある、この立派な梁材は、10年近く前、近所の農作業小屋の解体を請け負って、いただいてきたもの。田舎ではものすごい勢いで民家が、潰れたり、解体廃棄されたりしている。誰かが、古材として救助しないと、こんな立派なのに。

ありがたく、使わせていただきます。

床を張る

ロフトに床張り

ロフトの骨組みが出来上がったので、床を張っているところ。桁に元々あった根太受けのホゾ穴に、埋め木をしたとこだけ色が違う。

普通の2階建てなら、このあと天井板を下から張り付けて、桁と梁を隠すのだけど、今回はこのまま。梁が見えてるのって、格好良いと思う。

参考

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