自分で作る楽しみ
祖父がいたころ、「農家は自分の家は自分で作るもんなんだ」と言って、天井裏を部屋に家族で作り替えた。どこからか貰ってきた木材を切ったり、どこかに保存してあった畳を運び入れたりして、訳が分からずに手伝っているうちに家が変わっていった。びっくりしたけど、楽しかった。
作るってことは、楽しい。
便利な消費社会は、いいかえると、自分で作る楽しみを放棄している社会。仕事の専業化が進み、特定の業種の人にお金を払って、自分の代わりに作ってもらったものを買う仕組み。でもそれが唯一の正解かっていうと、そんなことないと思う。
野菜だって作れるし、家だって作れるし、家畜だって作れるし、橋とか、道とか、石垣とか、水道とか、燃料とか、作りたけりゃなんだって自分(たち)で作れる。
何でも作る。「ものづくり」がしたいってことを、都会で20年近く暮らしてみて、改めて思った。だけど都会じゃ、あんまりできなかったので、田舎の村に引っ越した。
農山漁村の良さ
田舎にも町と村があるけど、「ものづくり」をするなら、田舎の農山漁村に住んだ方がいいと思う。その理由は、
- 資源が豊富
- 古民家という遊び場がある
- 「ものづくり」の経験豊富な人が沢山生きてる
例えば日本は森林資源が豊富な地域だけど、その資源にアクセスし易いかどうかっていうことが、非常に重要。その点、田舎の村は、最高の場所だ。
古民家の何がいいかって、ほぞ組みの木造や、土壁や、太い松の曲がり梁だったりが普通に使われていることだ。近所に建具屋さんや大工さんが何人もいて、大工仕事を随分教えていただいている。田舎のいいところは、在来工法を経験してきた職人さんが生きているってことだ。
適正エネルギー
遠い外国から化石燃料を使って運んだ化石燃料でもって電気や灯油を作り出し、さらにエネルギーを消費して消費地に運ぶという、無駄の多いエネルギー事情にうんざりする。エネルギーを得るために、自分で出来そうなことはなにかと考えては実験している。自然には利用されていないエネルギーが沢山ある。それらを無駄無く適正に取り出して利用するのはとても面白いと思う。
「日本は資源のない国なので、外国から輸入しないといけません」と宣伝しているテレビコマーシャルが、なぜか深く記憶に残っている。とんでもない。日本列島は、樹木や、飲み水、という資源の、とても豊富な地域だ。
木を燃やす
薪はすごい。調理、暖房、お風呂などに必要な熱エネルギーを生み出してくれる。火の魔術を身につけよう。
森林資源が豊富な日本列島
温暖湿潤性気候に属している日本では、雑木林の広葉樹木は、切っても切り株から勝手に再生する。植えなくてもいいし、水遣りもいらない。とても恵まれた気候だ。広葉樹林が自力で再生できる規模で木を切りつづければ、ほぼ永遠に燃料が手に入る。
大気中の二酸化炭素濃度の過度な増加が問題になって何年もたつけれど、適正に管理された、つまり若い広葉樹林は、二酸化炭素をよく吸収してくれる。放置して老木になると、今度は二酸化炭素を吸収する量よりも、二酸化炭素を吐き出す量の方が多くなる。
蓄熱や断熱
冬は太陽光をうまく取り入れて家の中に蓄熱したいから、太陽光が当る室内の壁や床を蓄熱する素材で作るのがいい。木は蓄熱量が少ない。石とか土は沢山蓄熱する。
夏は夜に室内へ取り込んだ冷気を日中も保存したいから、やっぱり、蓄熱する素材で壁や床を作るのがいい。
室内に蓄えた温度を外に逃さないように、壁や天井は程よく断熱するのがいい。
少ない薪で効果的に調理ができる装置は、とても大事。
薪火の熱を蓄熱できる暖房装置もとても大事。
禿山を作らない薪の利用
薪で調理、薪で暖房、薪でお風呂と、薪をどんどん使っていると、薪はとっても沢山必要。
明治の初期、近畿地域の里山地帯には多くの`はげ山'が存在していた。
これらの山は花崗岩の風化物という侵食されやすい地質に加え、築城・製鉄・都市への人口集中などの理由から、木が過度に伐採され、根っ子までが燃料として使用されたために、禿山になったといわれる。
この歴史を繰り返さないように、太陽光の利用、効率のよい暖房や調理システム、広葉樹林の適正な管理などを実践しようではないか。
飲み水をどこから得るか
私の地域では、地下水や湧水を共同の水道施設で集水・殺菌しポンプで配水する簡易水道が通っている。しかし私の実家が、井戸水で生活をする家だったせいか、いつまでたっても水道水の味に慣れない。だから、もっと純粋な水を手に入れたいと試行錯誤している。
井戸水
昔からの井戸水を水質検査に出すと、飲用に適さないと判定されるものが多いみたい。しかし田舎暮らしの先輩の家では、問題ありとされた山水を10年以上飲んでいるけど、まったく問題がないと聞いた。私の家の井戸も復活させた。なにせ夏は冷たく、冬ぬるい水がありがたいし、お風呂がカルキ臭くないのが最高。
生物浄水
信州大学教授の中本さんが「生物浄化法」を見直そうという活動をされている。緩速濾過 とも言われるこの水浄化方法は、化学薬品や電気を必要としないことが特徴だ。中本さんのおいしい水のつくり方では、家庭で実践できそうな装置も紹介されている。
沢水も同じような仕組みかな。
天水(あまみず)
雨は、水分が蒸発して、冷えて落ちてきたもの。つまり蒸留水だ。
東京の雨水でも2時間1分目からは飲めるという話。
東京の雨水もちゃんと飲めるんです。降り始めは、大気の汚れを吸着してくるので、もちろん汚れています。そこでおじさんはしつこく調査を行ったのですが、2時間、目いっぱい降った後の水を採集して調べると、真水と変わらないほどきれいなものだったのです。
我が家でも井戸を復活させるまでは、雨水が飲用水として大活躍した。
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