そろそろ寒くなってきたので、ストーブの研究を再開。

ロレイナストーブ

Lorena adobe stoveというものがある。

身近で手に入る粘土に砂と水を混ぜて、ストーブを成形する。

adobe ≒ Rammed earth ≒ thermal mass ≒ 版築 ≒ 三和土乱暴だけど、大体このとおり

竈をどうやって作ろうか研究しているときに、土で作れる Lorena adobe stove に魅力を感じていた。

ところが、

ロレイナストーブの失敗

5年後に科学者達がロレイナストーブをテストした所、使い方次第ではロレイナストーブは焚き火より多くの燃料を消費する可能性があると判明した。アプロヴェチョ - Wikipedia

えぇっ; ̄Д ̄)/!

なんと、失敗作。

薪の節約という点では効果がなかったが、自分で簡単に直せる点や、煙突による排煙ということがよかった。

Lorena adobe stove - Cook stove | Wikipedia

設計したアプロヴェチョ自ら認めております。(;゚д゚)

断熱材は熱が通過しないようにするが、 thermal mass は反対に熱を吸収する。テストを重ねると ロレーナストーブに使われる rammed earth は調理に向かうべき熱を吸収してしまっていることが判明した。

その後の設計では、 rammed earth は軽石や灰といった断熱材に変更された。

よかった、ちゃんと改良されたんだ。でも灰は断熱しないね。熱を吸収するね。

断熱と蓄熱

ロケットストーブに限らず、ストーブの燃焼効率を高めようとすると、「断熱」と「蓄熱」というキーワードが出てくる。我が家の煉瓦製ぬくぬくベンチ型ロケットストーブは、燃焼炉と燃焼煙突に「断熱」効果に優れた珪藻土煉瓦を使った。私は、これ間違えたと思った。その後、燃焼炉内の壁に、「蓄熱」性を持つ耐火煉瓦を並べたらようやくロケットストーブ的に燃えるようになったからだ。

ガスが燃えるには、温度と酸素が必要だ。だからガスの通り道が「蓄熱」して500℃以上になっているべきだと思う。だけど優れた「断熱」効果を示す珪藻土煉瓦は、熱を反射する素材なので、耐火煉瓦のようなものと比べてそれ自体の温度が上がらず、ガスに着火できない。だからロケットストーブの燃焼炉に「断熱」材を使うのは間違いだと思ったんだけど、おかしい。

ロレーナストーブは熱を吸収するので、燃焼効率が悪いという話。なんでだ。燃焼炉が「蓄熱」するなら良いと思っていたが、逆らしい。

ロケットストーブのしくみ

わけが分からなくなったので、Erica が描いたロケットマスヒーターの基本構造図を眺める。

RocketHeater6in20000rocketstoves - www.ErnieAndErica.info

そういうことか。

やっと分かった。

燃焼炉[BURN TUNNEL]は蓄熱素材の煉瓦や石の組構造で作り、「その周りを」断熱材で囲う。薪火と接する面は蓄熱素材なので、着火温度が維持される。触媒だね。触媒をより高熱にするためには、触媒の外側を断熱してやればいい。偶然だけど、我が家のロケットストーブもこうなったわ。だよねー。やっぱこうなるよねー。

ロレイナストーブとの違いは、「蓄熱素材より外へは熱を逃さない」ということ。ロレイナストーブには断熱材が入っていなかった。そしてストーブ自体が大きいから、ストーブ全体が暖まるまでずっと熱が逃げつづけるんだね。

よくあるキッチンロケットストーブの場合、ステンレス煙突を燃焼炉として使うけど、これが触媒。その周りに断熱材。という仕組みかな。

その後の話 1

珪藻土煉瓦もアサヒキャスターも消耗品ですという記事で書いたように、内張りの構造体に耐火レンガを使うのは、蓄熱して触媒という以外にも、耐久性が高いという大事な理由があるみたい。

その後の話 2

ロケットストーブには珪藻土レンガ(キッチンロケットストーブ作るよ)で実験したように、断熱レンガでJ-tubeを組めば、触媒となる蓄熱素材の内張りがなくても、クリーンバーンする。

二次燃焼

燃焼煙突[HEAT RISER]の方は断熱材のみで、できている。これでいいのか。二次燃焼は、燃焼煙突に入ったあたりか、燃焼煙突の真ん中でするのかと想像していたんだけど、ここには着火触媒となる蓄熱素材使わないんだね。それになぜ、鉄板に当たって冷えるところで二次燃焼するんだろう。PLASMA RE-BURN という表現がよく分からないけど。電離 再燃焼って書いてある。まじかよ。電離はしないんじゃない(;゚д゚)

※追記:2020/11/3 長年の疑問「プラズマリバーン」が分かった。物質の状態を個体、液体、気体というけれど、火はプラズマという状態なのだとか。

Ernie & Erica に二次燃焼についてのヒントが書いてあった。

-A short, insulated, and therefore very hot chimney, creating powerful draw and a very hot spot at the top where the last gases re-burn in a torus of baffled energy.短い、断熱された、そのためとても熱くなる煙突が、強い引きを作り、最上部にとても熱い点を作り、残ったガスが整流されたエネルギーの丸い輪となって再燃焼する。
firescience - www.ErnieAndErica.info

ふーむ。乱気流によるガスと酸素の撹乱が必要なのかと思ってたんだけど、別に鉄板にぶつかってかき混ざるから二次燃焼するってわけじゃないと。二次燃焼するあたりに鉄板をもってこい、ということなのかな。

燃やし方 J-tubeの形の意味

図を見ていて、もう一つ気になるのは、木を縦に入れて、燃えているは先端のみ、というところ。よくある絵なんだけどね。

ロケットストーブの設計者といわれるLarry Winiarski の Rocket Stove Principles にその答えが書いてあった。

Heat only the fuel that is burning (and not too much). Burn the tips of sticks as they enter the combustion chamber, for example. The object is NOT to produce more gasses or charcoal than can be cleanly burned at the power level desired.燃えている部分のみ温めなさい。木材は完全燃焼を妨げる余分なガスや炭を出すべきではない。

あ、そうなんだ。

我が家のロケットストーブ失格じゃん。うーん。ここだけ直したらいいのかもなー。

もっと見ていると、この薪のくべ方をどこか別の場所で見た気がしてきた。これ、囲炉裏と似てる。囲炉裏は、薪を数本、先端を火処に寄せて置き、薪が燃えるに従って先端を火処へと送る。よく似ている。いまさらながら気づいた。囲炉裏で普通にやることが、ストーブという箱の中でも同じだ、ということになかなか気づかなかった。

木を、中途半端に熱すると、煙る。

当たり前のことだ。だけど、そのことと、

だから、燃えている部分だけを熱するようにする。

ということを結びつけて考えたことがすごい。設計者えらい。

ロケットストーブで薪を縦にくべるのは、燃えると自動的に薪が落ちていくので、薪が自動供給されるのだ、という解説がされることが多い。そんな機能いらねえと思っていたけど、煙らせないという別の重要な機能を担ってたんだね。

参考

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