薪を燃やして床やベッドを暖める方法について質問をいただいた。何ができるだろうかと、答えていると、蓄熱式ストーブのそれぞれの特徴について考えるよい機会だった。
ロケットストーブ
燃焼部とそれにつづく内部煙突を「耐火断熱素材」でJ型に組むと、高温ガスにサイフォン効果が生じて、高い煙突の方に高圧の上昇気流ができる。
図にあるように、ドラム缶で受けた熱風を低い位置にある蓄熱部のベッドに流すことができる。歴史的にドラム缶を使うのは、簡単に手に入って安上がりなため。だけどドラム缶では、蓄熱部に行く前に大部分の熱を放熱してしまうので、ベッドへの蓄熱が目的ならば、ドラム缶を煉瓦で置き換えるとよい。
粘土と砂を混ぜたコブで煙道を作れば、比較的自由な煙道レイアウトが出来る。
フィンランドのコントラフロー
主燃焼室の傾斜した壁によって、上昇するにつれて圧縮されたガスが、二次燃焼室で撹乱されて再燃焼する。燃焼室の両脇の煙道を下った燃焼ガスを、ベンチに引き込むことができる。
ロシアの対流型ペチカ
燃焼ガスが温度の変化に従って自然な上下動をすることで、煙突の引きに頼り切らない燃焼を起こす。ベル内の圧力の上昇とともに、燃焼ガスが底部のベンチ部分へ流れ込む。ベルの縦部分の容量を小さくすると、対流室であるベンチ部分の温度が上がる。
ロシアの歴史的なペチカ
パン焼き釜の上に寝られるようなタイプ。具材を入れた壺を燃える火のそばに押しやって調理し、前室に引き出して保温する。火が落ちたあとで、子供用のサウナとしても使っていたそうだ。
そう聞くと魅力的だけど、wikipediaによれば熱利用率は30%程度。現代的なペチカが80%程度の熱を暖房に利用するのに比べ効率が悪い。運用中の写真で、燃える炎が煙突に吸い込まれているのを見たことがあって、もったいないなと思った。
韓国のオンドルや中国のカン
これぞ床暖房。韓国の事例で、煙突から排出される煙の温度が30℃くらいで低すぎて煙が引かないので、プラスチックのファンを煙突トップにつけているのを見たことがある。熱が暖房に効果的に使うためには、床下煙道の底面と側面を断熱しないといけない。
天井、床、壁の断熱
床が暖かいと気持ちいいのは確かだけど、天井、床、壁全体が断熱された部屋に、空間の体積に応じた熱量の暖房器具があれば、床も壁もほの暖かい状態になる。床暖房は、構造が複雑だし、掃除が大変だと感じるなら、天井、床、壁の断熱をするだけで良いかもしれない。
Q値(熱損失係数)が 1 だと暖房装置がなくても、寒くないらしい。
断熱の例
壁に蓄熱
石や土やレンガなどの重い素材で20~40cmの厚い壁を作ると、壁が蓄熱するので、年中ほぼ一定の室温になる。
それでも寒ければ冬は部屋の中で暖房を焚く、もしくは太陽光線を壁に当てると、分厚い壁が暖かさを蓄える。夏は、夜間窓を開けて冷気を取り込み、壁に蓄冷しておくと、日中も涼しい。
蓄熱の例
断熱と蓄熱がどの程度の家なのかを確定させないと、暖房装置の設計はできないよね。
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